SSブログ

共生体としての子ども(新生児) [母乳と細菌]

ずれにしても、乳児が経口摂取できる唯一の栄養物である母乳に、130種類ものオリゴ糖が含まれ、それが糖質全体の5% を占めているという事実は、何を意味しているのでしょうか。

たか新生児が母乳から待るエネルギーの多寡を考えるなら、糖質のすべては乳糖であるべきです。乳糖なら乳児は自前の酵素で分解でき、余さずエネルギー源として利用できるからです。

ようするに、オリゴ糖を含む母乳より、含まない母乳のほうが新生児には有利なはずです。しかも、母体側にとっても、1 30種類もの化合物を作り出すのは簡単ないのは言うまでもありません。

乳腺細胞が130種類の物質を作り出すためには、それぞれに対応した酵素が必要となり、酵素を作るためには、エネルギーとアミノ酸が必要です。つまり、130種類の物質を作るために、他の組織に割り当てるエネルギーとアミノ酸がることを意味します。

単純な収支バランスからすると、母体側は極めて無駄なことをしているように見えます。それにもかかわらず、現生の晴乳類の母乳には、このような「乳児が吸収できないオリゴとうた糖」が必ず含まれています。
進化の過程で「オリゴ糖を作らない乳腺を持つ晴乳類」は淘汰され、「オリゴ糖を産生する晴乳類」のみが生き残ったと解釈するしかありません。その理由が、オリゴ糖によって作られる腸内細菌叢がもたらすメリットであり、腸内細菌が産生する脂肪酸が、新生児の発達に必要不可欠な栄養素である、という可能性が浮かんできます。

それらが直接的に新生児死亡を減らすというメリットがあり、そのメリットは、母体がオリゴ糖を作るために費やすエネルギーをはるかに上まわっていたと考えることができないでしょうか。いずれにしても、母乳+ 新生児+ 腸管常在菌は、ワンユニットの共生体として機能しています。

だから、母乳の成分比についても、成分ごとの消化・吸収率を考えても意味がなく、共生体全体から新生児が獲得するエネルギー量・栄養素の量という観点から捉え直す必要があるはずです。

http://kojiloso.sblo.jp/
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。