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母乳にはオリゴ糖が含まれる [母乳と細菌]

「食物に含まれる栄養素・カロリー数」と「その食物を食べて得られる栄養素・カロリー数」はイコールではなく、草食動物や雑食動物では、むしろ完全に承離しています。このような視点から、「哺乳動物における哺乳」を見直してみるとどうなるでしょうか

人間の母乳に含まれる栄養素は、母乳100 gあたりタンパク質1.1 g、脂質3.49 g、糖質6.87 gです。(出産後の時間経過によって成分比は変化する)。

糖質のうち、乳糖が6 gともっとも多く、95% を占め、それ以外は三糖以上のオリゴ糖であり、現在、約130種ものオリゴ糖が母乳中から見つかっています。

問題はこのオリゴ糖です。なぜ問題かというと、これらのオリゴ糖を、人間は基本的に分解できないからです。分解できないということは、消化も吸収もできず、栄養にもならないということを意味しているのです。

この「人間が消化できないオリゴ糖(正確にはヒトミルクオリゴ糖)」の役割がわかったのは比較的最近のことで、現在では、オリゴ糖は新生児の腸管にビフィズス菌が定着、増殖するのを助け、同時に有害細菌の定着を阻害する役割も持っていることが明らかにされています。

じっさい、新生児の腸管細菌叢を調べた研究によると、出生直後の細菌叢は、大腸菌などの好気性代謝も行なう細菌が主体だが、母乳栄養児の場合には、1週間程度でビフィズス菌主体へと変化することがわかっています。

以前の人工栄養では、新生児腸管へのビフィズス菌の定着が見られず、母乳栄養児に比べて有窟に感染症の発症率が商いことが問題だったが、オリゴ糖とビフィズス菌の関係が解明され、人工乳にオリゴ糖が∴添加されるようになった結果、人工栄養でも正常な腸内常在ル囲叢が形成されるようになったのです。

母乳中のオリゴ糖は、それほど重要な役割を担っているのです。さらに、新生児の大腸内に入ったオリゴ糖は、ビフィズス菌やその他の細菌の発酵作用により、有機酸(乳酸など) や短鎖脂肪酸(酢酸、酪酸、プロピオン酸など) に変化することがわかっています。これらの有機酸や短鎖脂肪酸は、さらに別の腸管常在菌のエネルギー源として利用され、腸内常在菌のネットワークを強固なものとし、腸内環境の安定化に寄与しています。

また、酢酸や乳酸により腸管内のpHが低下して酸性環境となるため、病原菌(=中性〜弱アルカリ性の環境を好むものが多い) の増殖を阻止しているのです。

さらにこれらの短鎖脂肪酸を、新生児が腸から吸収している可能性を考えたくなります。これまで見てきたさまざまな動物の事例からすると、新生児が吸収して栄養としていると考えるほうがむしろ自然だからです。

おそらく新生児は、母乳に含まれる以上の栄養を待ているはずです。また、母乳にはブドウ糖もデンプンも含まれていないという事実も興味深いところです。

新生児期は脳がもっとも発達する時期であり、脳のエネルギー源であるブドウ糖を大量に必要とするはずなのに、新生児の唯一の栄養源である母乳には、ブドウ糖もデンプンも含まれていないからです。

ようするに、脳が必要とするブドウ糖は、経口摂取した糖質とは無関係であることがこれからも証明されるということです。

http://kojiloso.sblo.jp/
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